Annealing 焼きなまし(焼鈍) 2017 8 13

 「焼鈍」とは、工業系の人たちは、よく知っている言葉でしょうが、
普通の人は、あまり知らない言葉でしょう。
 ちょうどよい説明はないかと、インターネットを見ていたら、
株式会社セイショーのホームページに、ちょうどよい説明がありました。
 焼鈍(焼きなまし)とは、
鋼を適当な温度に加熱して、
その温度に一定時間保持した後に、
除冷していく処理を言います。
焼きなましは、内部応力の除去、硬さの低下、加工性の向上などの効果があります。
(引用、以上)
 実は、コンピュータの世界でも、
「アニーリング」という言葉が使われます。
つまり、「量子アニーリング」コンピュータのことです。

書名 量子コンピュータが人工知能を加速する
著者 西森 秀稔  大関 真之  日経BP社

 量子コンピュータというと、
「夢の技術」と言われていましたが、
カナダの新興企業が、あっという間に実用化して、商業化してしまいました。
それが、「量子アニーリング」コンピュータです。
 従来、量子コンピュータというと、
「量子回路式」のことだったのですが、
著者たちが提案したものが、
「量子アニーリング方式」というものです。
 「量子回路式」は、汎用のコンピュータを目指していたのに対して、
「量子アニーリング方式」は、特定の分野に特化しています。
 どういう分野かというと、わかりにくいかと思いますが、
「組み合わせ最適化問題」という分野です。
 そういうわけで、従来の「量子回路式」を支持する学派からは、
「量子アニーリング方式」は、量子コンピュータとは言えないという批判がありましたが、
今では、量子コンピュータとして認められるようになっています。
 アメリカの「量子コンピュータ業界」では、
「量子アニーリング方式」が盛り上がっていると言われます。
 ところで、なぜ、「量子アニーリング方式」が、人工知能を加速するかというと、
「量子アニーリング方式」は、「組み合わせ最適化問題」に特化しているからです。
 この「組み合わせ最適化問題」は、
正に人工知能(AI)がチャレンジしている分野と言えるでしょう。
 さて、「量子アニーリング方式」コンピュータの写真や図面を見ると、
多くの人は、「これは、コンピュータではなく、実験装置のようなものだ」と思うでしょう。
 しかし、現実には、実用化され、商業化もされ、
有名企業にも納品されています。
 とにかく、「量子アニーリング方式」が、
コンピュータ業界に旋風を引き起こしていることには間違いありません。
 一般的なコンピュータに比べて、
この新型コンピュータは、「絶対零度」を使うことが特徴的でしょうか。
 マイナス273度という超低温において、
常識では考えられない現象が起こります。
 たとえば、超電導現象(超伝導)があります。
あるいは、「超流動」現象があるでしょう。
その他に、「スピン」の共存(重ね合わせ)でしょうか。
つまり、量子的に存在するということです。
 電子というものは、回転の性質を持っています。
これを「上向きのスピン」と「下向きのスピン」と言います。
普通は、この二つのどちらかの状態にあります。
 ところが、「絶対零度」まで冷やすと、
横方向からの磁場をかけることによって、
「上向きのスピン」と「下向きのスピン」が重なり合って存在するという状態になります。
これを利用したのが、「量子アニーリング方式」です。
 なんとなく、写真や図面では、
「冷却装置」という実験装置を作ったように見えますが、
これが、人工知能を加速させることは間違いないでしょう。
 多くの日本人には、「量子アニーリング・コンピュータ」というと、
何のことだか、さっぱり、わからないでしょうが、
「焼鈍コンピュータ」ならば、「和風」で、親近感がわくでしょう。
(注)
 この文章は、朝、起きたばかりで、
眠たい目をこすりながら書いたので、
間違いや説明不足があるかもしれませんので、
専門家の方が補ってくださることを期待します。

















































































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